第21回参議院議員通常選挙

2007年7月29日に投開票が行われた第21回参議院議員通常選挙。安倍政権初の大型国政選挙。改選121議席投票率は選挙区で58.64パーセント、比例区で58.63パーセント。亥年参院選投票率が下がるというジンクスが初めて敗れる。

自民党は改選64議席に対し選挙区23議席比例区14議席の34議席に留まる。非改選と合わせた勢力は選挙前の110議席から83議席に。比例区の得票は1654万票。1955年の結党以来初めて参院第1党の座を明け渡す。

連立与党を組む公明党は改選12議席に対し選挙区2議席比例区7議席の9議席に留まる。非改選と合わせた勢力は選挙前の23議席から20議席に。特に公認候補を擁立した5選挙区では2勝3敗と負け越し。選挙区での敗北は旧公明党時代の1989年以来。

民主党は改選32議席に対し選挙区40議席比例区20議席の60議席と結党以来最多の議席に躍進。非改選と合わせた勢力は選挙前の81議席から109議席に。参院第1党の座を初めて手にする。比例区での得票率は39.48パーセントの2325万票。

共産党は改選5議席に対し選挙区0議席比例区3議席の3議席。選挙前の9議席から7議席に。社民党は改選3議席に対し選挙区0議席比例区2議席の2議席。選挙前の6議席から5議席に。国民新党は改選2議席に対し選挙区1議席比例区1議席の2議席。選挙前の4議席から4議席に。新党日本は改選0議席に対し選挙区0議席比例区1議席。選挙前の0議席から1議席に。与党系無所属は改選0議席に対し選挙区1議席比例区0議席の1議席。選挙前1議席から2議席に。野党系無所属は改選0議席に選挙区5議席比例区0議席の5議席。選挙前3議席から8議席に。

この結果与党が非改選58と合わせ105議席、野党が非改選63議席と合わせ137議席となり、過半数122議席を野党が大きく上回る。

話題の候補

東京選挙区で民主党2候補に続く3番目に当選確実が出たのは無所属の川田龍平氏。薬害エイズ訴訟で実名公表した知名度を生かしての当選。

岡山選挙区では自民党片山虎之助参院幹事長(71)が落選。「姫の虎退治」というキャッチフレーズで挑んだ姫井由美子(48)に敗れる。

青木幹雄参院議員会長の地元の島根選挙区では自民前職の景山俊太郎(63)を破り国民新党新人の亀井亜紀子(42)が当選。亀井久興衆院議員の長女。

森喜朗元首相の地元の石川選挙区でも民主党一川保夫(65)が自民党の田富郎(57)を4000票余りの小差で下す。

国民新党から比例区で出馬したフジモリ元ペルー大統領は落選。得票数は5万票余り。

東京選挙区に無所属で出馬したKNNの神田敏晶氏は得票数約11,000票で落選。

背景

今回の改選議席は6年前の小泉ブームに乗って自民党が大勝した時の物。

公的年金保険料の納付記録漏れ。懸命の対策を打ち出したが、抜本対策としての浸透が果たせなかった。

相次ぐ閣僚の問題発言。「女性は産む機械」「原爆投下はしょうがない」「アルツハイマーでもわかる」

赤城徳彦農水相の事務所費問題などの政治と金の問題。そのほとんどで安倍首相は渦中の人に対し断固たる対応を取れなかった。

前回衆議院選挙で大敗を喫している民主党の小沢代表は告示前、与党を過半数割れに追い込めなければ、次期衆院選に出馬しないと明言。背水の陣で臨んだ。1人区の特に山間部に重点を置き、動いた。

前回衆院選郵政民営化1本に焦点が絞られ与党の議席が3分の2を超えている。通常国会では強行採決がいつになく多用された。憲法改正の手続きを定めた国民投票法の制定。学校教育政策の憲法とも言える教育基本法の改正。結果、バランス感覚が働いたとも考えられる。